ニュースの概要
東京都が実施するスタートアップ支援事業で、NEXTBLUEが運営する「TOKYO to Global: Femtech & Healthcare Startup US Launchpad」が採択された。都内に拠点を置くフェムテック・ヘルスケア領域の新興企業を対象に、米国市場への参入を後押しする内容で、参加企業の募集は10月中旬に始まる見込みだ。日本発のフェムテック企業と海外市場を結ぶ公的支援の枠組みとして、業界関係者の間で関心が高まっている。
引用元: 東京都がフェムテック・ヘルスケア新興企業の米国展開支援プログラムを採択(Excite News / PR TIMES)
分析・見解
なぜ今、東京都が「米国特化」の支援を選んだのか
日本のフェムテック市場は2020年代前半に急成長したが、市場規模は米国の10分の1以下にとどまるとされる。生理・妊活領域の新興企業が国内で一定の顧客基盤を築いた後に直面するのは、国内市場だけでは事業規模が頭打ちになるという壁だ。今回のプログラムが米国に照準を絞った点は、単なる海外進出支援ではなく、国内市場の限界を見越した出口戦略の提示だと読める。
NEXTBLUEが運営を担う意味
運営主体のNEXTBLUEは、新興企業の海外展開支援を専門とする事業者だ。行政が直接プログラムを設計するのではなく、実務知見を持つ民間事業者に運営を委託する形は、近年の東京都のスタートアップ支援事業で主流になりつつある手法である。審査や伴走支援(メンタリング)の質は運営事業者の実力に左右されるため、採択企業にとっては提供される助言役の顔ぶれや米国側の提携先が成果を大きく左右する。
フェムテック輸出で繰り返されてきた3つのつまずき
過去に海外展開を試みた日本のフェムテック企業の多くは、医療機器規制(FDA対応)、現地の提携先探し、資金調達ラウンドの組成という3点でつまずいてきた。単発の視察ツアーや展示会出展だけでは、この壁を越えるのは難しい。プログラム期間が複数月にわたる設計であれば、規制対応や現地商談の反復練習に充てる時間を確保できる可能性があり、従来の支援より実効性が高まると見てよい。
日本発フェムテックが海外で評価されやすい分野
婦人科領域の着用型機器や月経・妊活データの解析技術は、技術的な完成度で海外企業と十分に渡り合える領域だ。一方、更年期ケアのように文化的な受け止め方の差が大きい分野は、米国向けの説明の組み立てを一から作り直す必要がある。募集開始後にどの分野の企業が採択されるかを見ることで、東京都が描く勝ち筋の輪郭が見えてくるはずだ。
ビジネスへの影響
募集開始前に準備すべきこと
参加企業の募集は10月中旬に始まる予定だ。都内に拠点を置くフェムテック・ヘルスケア企業で米国展開を検討している経営者は、応募要件(対象業種・拠点要件・事業段階)の公開を待つだけでなく、直近の資金調達状況やFDA対応の有無を整理し、応募書類にすぐ反映できる状態にしておくべきだ。採択枠は限られるため、準備の早さが選考結果を左右する。
投資家・提携候補企業が見ておくべき視点
フェムテック領域に投資する国内の投資会社や事業会社にとって、本プログラムの採択企業一覧は、東京都のお墨付きを得た米国展開候補を見つける一次情報になる。採択発表のタイミングで企業一覧を確認し、早期に接点を持つことは、後続ラウンドでの出資機会を確保する上で有効な動きだ。
同業他社にとっての波及効果
直接の対象でない企業にとっても、本プログラムの選考基準や採択企業の事業内容は、米国市場で評価される日本発フェムテックの条件を知る手がかりになる。採択結果の分析は、自社の海外展開計画を練り直す材料として活用できるはずだ。